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~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
ぼくは陛下に見初められてすぐ、表向きには「鳳凰殿付きの内官」に取り立てられていた。
だから当然、昼間は内官としての職務に当たることになる。
当初は「見習い」扱いだったから、鳳凰殿付きといっても水汲みやドブ浚いや芋の皮剥きなんかの仕事ばかりだったが、下働き歴5年の手にかかれば苦も労もなかった。
何より夜になれば、週に3、4日はお召しがあって陛下にお会いすることができたから、それを心の支えにぼくは日々の労働生活さえ楽しむことができた。
そして、どんな端下仕事も意気揚々とこなすぼくを陛下はきちんと見ていて、「いつも健気なやつだ」と寝台の上で褒めてくださった。