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~花の玉手匣~
第5章  蒼い牙に抱かれて

ぼくが陛下の逆鱗に触れるほどの過ちを犯してしまったのは、そんな幸せな日々が続いていた矢先のことだった。



 ***



午前の朝廷を終えると陛下は内廷に戻り、鳳凰殿の執務室で膨大な量の書類を通覧する。

それは各所から提出された上奏文やら任免状やら稟議書やらで、陛下はご自分で一つ一つに御璽を捺したり、一言添えたりするのだ。

そしてぼくの務めは、そんな陛下の傍らでひたすら磨墨することだった。



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