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~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
その時、
「翔龍(シァンロン)!」
弾んだ声を上げたのは他ならぬ陛下だった。
立ち上がり、壇上を降りて自ら彼を――翔龍を出迎える。
ぼくは思わず磨墨の手を止めてしまった。
陛下は翔龍の肩を親しげに抱き寄せていた。
「4年ぶりか。息災にしていたか、翔龍」
「はい、陛下。長らくご無沙汰いたしましたこと、申し開きもございませぬ」
「いや、そなたの働きぶりは予の耳にも確と届いていた。誇りに思うぞ」
「恐悦至極に存じます」
翔龍が魅力的な笑みを浮かべ、陛下は満足げに頷いた。
ぼくの心にさざ波が立った。