この作品は18歳未満閲覧禁止です
~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
このまま、ぼくは陛下に見捨てられてしまうのだろうか。
もう二度と陛下の閨に呼んでもらえなくなるのだろうか。
それどころか、内官の職まで解かれてしまうかもしれない。無理もない。自業自得だ。内官失格の失態を仕出かしたのだから。
でも――
金輪際、陛下のそば近くに侍ることができなくなることを想像したとたん、大粒の涙が落ちた。
盥の水に波紋が広がり、水面の月が歪んだ。
「陛下……」
会いたい。
声が聞きたい。
胸が詰まり、涙は止まらなかった。