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~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
陛下は執務服こそ脱いでいたものの、まだ寝衣姿ではなかった。
裾の長い表衣をきちんと衿を合わせて着こなし、円卓で酒を酌み交わしている。よりによって、翔龍と――
やはり、もっとも奥深く私的な空間への入室を許すほどの仲なのだ。
翔龍への信用感あふれる愉しげな陛下の表情に、またもやぼくは息苦しくなる。
そんなぼくを一瞥して、陛下はかすかにため息を吐いたようだった。
「その鞭を此方へ」と総監に合図する。そして鞭を手渡した総監に、「大儀であった。この童兒以外、みな退がれ。人払いを」と指示した。
総監は他の御付きや給仕係りの内官らを引き連れ、寝所を退出した。