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~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
翔龍が扉の向こうへ消えて、静寂の中、ぼくは陛下と二人きりになった。
まだ仕置きを解かれていない現状ではあるものの、盃を口に運ぶ陛下の横顔にぼくの心の重石は少しだけ軽くなった。
陛下は盃を卓に置くとおもむろに立ち上がった。奥に足を向け、寝台に端座する。ぼくと正面で向かい合った。
(陛下……)
泣いて甘えたくなる。
ところが陛下は、
ヒュンッ――
握り締めていた枝鞭で空を切った。
ぼくは思わずビクリと震え、盥の水が跳ねこぼれた。
陛下の目が据わっている。そして口を開いた。
「おまえは、少しも反省していないようだな」