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~花の玉手匣~
第5章  蒼い牙に抱かれて

ぼくはおずおずと歩を進めた。

その腕にいまだ盥を抱えているのを見て、陛下が不意に頬をゆるめる。いつもの微笑が嬉しくて、ぼくはまたもや泣きそうになった。

「それはもう下ろしてよい」

ぼくは頷き、盥を床に置いた。

それから段を上り、陛下の前に立つ。

「尻を出せ」と、これもまた、ぼくをお仕置きするときのいつもの台詞。

〝もしかしたらこのまま見捨てられてしまうのかもしれない〟とまで覚悟した不安の氷塊が、少しずつ溶けていくのを感じる。

もちろん陛下の手にある鞭は怖いけど、ぼくは躊躇せずに下穿きを下ろした。



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