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~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
無防備なぼくは、陛下の膝に腹這いで載せられた。
陛下がまったく手加減しないのを、ぼくは嫌というほど知っている。だから反射的にお尻を締めていた。
ところが、
「……小龍」
陛下は「予想外のものに出くわした」とでも言いたげな声音で呟き、お尻を指でなぞった。
「おまえ、総監に鞭で打たれたのではなかったのか?」
「はい、打たれました。20打も……」
「そのわりに、おまえの尻は白いではないか。傷ひとつないのはどういうわけだ」
「いえ、それは……」
ぼくは今まで隠すように握りしめていた両手の平を、おそるおそる開いた。
どちらにも浮かぶ線条痕。血が滲んでいる。皮膚が裂け、まだ塞がれていない。じんじんとした痛みは腕にまで伝わってくる。
「なんだこれは!?」
陛下が悲痛な声を上げた。