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~花の玉手匣~
第5章  蒼い牙に抱かれて

「痛っ…」

寝具に下ろされたとたん、お尻に走る激痛にぼくは悶絶した。

反射的にうつ伏せになる。

きっとお尻は、熟した蕃茄(トマト)か珊瑚のように真っ赤になっているはずだ。

当分は椅子に座れないし、歩くのもつらいかもしれない。

澄ました顔でぼくの横へ寝そべる陛下に、

「蒼…牙さま」

おそるおそる呼びかけてみた。

「ん? なんだ、小龍」

陛下は頬をゆるめて応えた。

ぼくに安堵が広がる。

よかった。

また、名前を口にすることを許してもらえたのだ。




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