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~花の玉手匣~
第1章  皇子の名

「良かったわね、玉蘭」

儀式が終わり、皇子とともに寝所へ戻った玉蘭に玲利も嬉しそうにほほえんだ。

改めて、卓上に勅書を広げる。

「これで、皇子さまの立太子はほぼ約束されたも同然だわ」

そう言って、玲利は名前の一部分、「牙」の字を指差した。

それは皇祖以来、すべての皇帝に受け継がれてきた文字である。

諱に「牙」を与えられたということは、正式な世嗣であると父親から公言してもらったに等しいのだ。



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