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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
「星祭りの日に外泊手形をいただけるなんて、凜凜ちゃんは運がいいわね」
「運じゃないわ。だって、この日のために半年前から休暇願いを出し続けていたのよ」
「まあ、半年も!?」
世話係の若い女官がおしゃべりに花を咲かせている。
ふたりとも、美紅姫が起き出してきたことに気づいていないようだ。
「もしかして、誰かいい人が外で待っているのかしら」
「うふふ…」
「恋人?」
「いいえ、違うわ。でも、小さい頃からずっと優しくしてくれていた兄のような人よ。今年の祭りは一緒に灯籠を上げよう、って誘ってくれたの」
「まあ、素敵」
きゃっきゃっ、と盛り上がるふたりの前に、美紅姫は御簾をめくって飛び出した。