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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
美紅姫がこんなふうにぶっきらぼうな口の聞き方をするのは初めてである。
玉蘭は戸惑いの視線を呂栢と交わした。
そこへ、
「あ、あの…恐れながら――」
美紅姫を追いかけてきた凜凜が、おずおずと口をはさんだ。
「姫さまは、今夜、城下で行われる星祭りのことを仰っているのでございます」
ああ、なるほど――
と、玉蘭と呂栢は頷いた。
「まことに申し訳ありませんっ! わたくしが不用意に姫さまのお耳に入れてしまいましたばかりに…」
凜凜は頭を深く下げて恐縮した。
「そうでしたか、姫さまは星祭りにお出かけになりたかったのですね。――しかし…」
呂栢は椅子から降り立ち、片膝をついて美紅姫と目線を合わせた。
「残念ですが、今夜は姫さまはお祭りに行くことができません」
美紅姫の目が悲愴で見開かれた。