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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
「どーしてそんないじわる言うの!?」
「美紅姫…」と、玉蘭が割って入った。
「呂栢は意地悪で言っているのではないのよ。手形がなければ誰も外には出られない、それが内廷のきまりなの」
皇宮に在る人も物も、すべては皇帝の所有物。
だから使用人はもとより后妃や皇子・皇女でさえ、皇帝の許可=手形なくしては一歩たりとも後宮から出られない。
そして手形の発行には、どんなに特権を駆使しても最低1日はかかるのだ。
「今からただちに姫さまの手形を申請し、最優先で手続きを進ませます。明日には発行されますから、そうしましたら城下へお忍びに参りましょう。この呂栢がお供いたします」
しかし美紅姫は「むすっ」と目を据わらせ、即答した。
「明日じゃダメっ!」