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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
「美紅姫…、お願いだから聞き分けて」
「いやったらいやっ!! あたしは今日行きたいの! 今日の灯籠が見たいの!」
美紅姫はペタンと床に座り込んでしまった。その目尻には涙が浮かんでいる。
いつにない駄々のこねかたに、玉蘭は無意識に眉を寄せていた。
いっぽう呂栢は穏やかな表情のまま、美紅姫の手に触れた。
「姫さま、もしや寝起きのせいで少々ご機嫌が斜めでいらっしゃいますか。呂栢と一緒に、いちどお部屋へ戻りましょう」
そして美紅姫の肩を抱き寄せた――
と、
「さわらないでっ!!」
美紅姫が鋭い視線で拒絶した。