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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
何かを訴えようと唇を震わせている。けれど言葉にならない。
やがて「ふえ~ん…」と幼児のような泣き声をあげると踵を返し、部屋を飛び出してしまった。
凛凛が「本当に申し訳ありませんっ」と玉蘭に詫び、美紅姫を追いかける。
「あっ…待って美紅姫…」と呼び止めた玉蘭は玉蘭で、思わず怒りにまかせた声を張り上げてしまったことを後悔していた。
胸が痛む。
あんなふうに美紅姫が崩れることなど滅多にないのだ。もっと、思いのたけをじっくり聞いてあげればよかった……。
力なく、椅子にぺたんと腰を下ろした。