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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
「美紅姫は、呂栢と二人だけのときはいつもあんなふうに駄々をこねて崩れたりするの?」
玉蘭の問いに、呂栢は額を拭いながら首を横に振った。
「いいえ、姫さまはいつも物わかりよく、みどもの言葉もしっかりお聞きわけいただいております」
「そう…。それならさっきは、どうしてあんなに…」
それほどまでに星祭りへ行きたかったのだろうか。
すると呂栢は「おそらく…」と、慎重に口を開いた。
「呂栢には何か思い当たるふしがあるの?」
「おそらくですが、姫さまは単に祭りへ行きたいがためだけに、あのような振舞いをなさったわけではないと存じます。むしろ――」
言いにくそうに口ごもる。
玉蘭は小首を傾げ呂栢に先を促した。
「姫さまは焼きもちを妬かれたのやもしれませぬ」
「え?」
玉蘭は目を点にした。