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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
その頃、美紅姫は自室の牀榻に臥し大泣きしていた。
母に怒鳴られたことがショックだったし、それを呂栢が取りなしてくれなかったこともショックだった。
そして、みっともないワガママ姿を晒してしまったことが恥ずかしかったし、呂栢に当たってしまった自分にも嫌気がさしていた。
(でも…だって……)
なんだかむしょうにものすごく、腹が立ってしまったのだ。
昼寝から目覚めたときに呂栢が居てくれなかったことに――
弟が楽しそうに呂栢から読書の手解きを受けていたことに――
(呂栢はあたしの呂栢なのに!)
取らないでよ!
そう思った瞬間、呂栢へのワガママが止まらなくなってしまった。