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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
「もう、落ち着かれましたか?」
呂栢に顔を覗きこまれる。
美紅姫の泣き腫らした目は兎のように真っ赤だった。
呂栢は備え付けの銀盥の水に綿布を浸し、それで美紅姫の顔を拭った。
(謝らなきゃ…)
美紅姫の心は疼いた。けれどなかなか、「ごめんなさい」の言葉が出てこない。
やがて、
「これで綺麗になりました。さて、それでは――」
呂栢が美紅姫を抱き上げ牀榻から下ろした。
美紅姫は悲しげに呂栢を見上げた。
「お仕置きする…?」
呂栢は首を横に振って微笑んだ。