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~花の玉手匣~
第2章 星降る夜のわがまま姫
「では、この服にお着替えください」
呂栢が開いた包みには、子ども用の襦裙が入っていた。藍色の簡素な仕立てである。
「そして姫さまには、ヨンミという名前の修童女に成りすましていただきます」
修童女とは、尚侍や典侍といった上級女官が自らスカウトし後宮に連れてきて手元で教育する6~10才くらいの少女たちである。
いわば女官見習い。そして未来の管理職候補生だ。
「よろしいですね。くれぐれも、北門をくぐる際は“ヨンミ”とお名乗りください」
北門は、内と外をつなぐ女官・内官専用の出入り口である。
常に、厳めしい武官と担当官が出入りする人々を検めている。