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~花の玉手匣~
第2章  星降る夜のわがまま姫

「そうですね……。星詠姫は恋の女神でもありますから、姫さまが将来すてきな大人の女性になったとき、すばらしい殿方と出会い結ばれますように……と願われるのはいかがでしょうか」

それは呂栢の願いでもあった。

しかし美紅姫は目を丸くして呂栢を見つめた。

「それはだめよ」

「なぜですか、姫さま」

「だって、あたしは呂栢のお嫁さんにしてもらうんだも~ん」

「え…?」

「あたし呂栢のことが好き。大好きだよ。――大っ嫌い…って言ったのは…嘘なの」

そこで美紅姫は、いったん目をそらした。消え入りそうな声でつぶやく。

「……ごめんなさい」

呂栢は目を細め、美紅姫の背中をポンポンと叩いた。



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