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~花の玉手匣~
第1章 皇子の名
この1年――
秀瑛と出会い、蒼牙の秘密を知り、妊娠し、無事に皇子を出産したこの1年、
「皇帝の御子を産む」という密命を受けたのは自分だけだと勝手に思いこんでいた。
けれど…
よくよく思い返してみれば、秀瑛からも蒼牙からも「おまえだけだ」と明言されたことは一度もない。
だとしたら…
(わたしの知らないところで、わたしと同じ役目を与えられた側室が他にもいる?)
あり得ない話ではない。
むしろ確実性と効率性を考えれば、そうであるほうが理にかなっている。
(もし、その側室もまた皇子を産んだとしたら…)
その子と我が子で、儲君の座を争うことになるのだろうか。
(だとしても――!)