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~花の玉手匣~
第1章 皇子の名
「琳夫人さま、お顔の色が優れぬようでございますが…」
険しい目付きで黙りこくってしまった玉蘭に内侍が声をかけたのと、
「……ん…っ」
玉蘭がめまいを覚えたのは、ほぼ同時だった。
「琳夫人さま!?」
あわてて内侍が駆けつける。乳母も参じ、玉蘭から皇子を抱き上げた。
「だ、大丈夫よ…ちょっとクラっとしただけだから…」
「いいえ、すぐに横になってくださいまし。ただちに医官を参らせますゆえ」
玉蘭はなかば強制的に衾褥(きんじょく)の中へ戻された。