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~花の玉手匣~
第1章 皇子の名

「出産後は精神的にも身体的にも不安定になるものでございます。そして、心身が懐妊前の状態に戻るには、最低でも1か月はかかると言われております。
お妃さまはお若く、ご健康で、ことのほかご安産でいらっしゃいましたが、油断は禁物。
くれぐれも産褥期は……少なくとも“賜名の儀”の頃までは、身も心も安静にしてお過ごし下さいませ」
診察に来た医官はそう説明し、薬湯を煎じてから退出していった。
“賜名(しめい)の儀”とは、生後45日目の皇子に行われる命名式である。
玉蘭はおとなしく薬湯を呑み、やがて眠気に襲われ寝入ってしまった。

