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~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
その日の夜、雑魚寝部屋でなんとも言えぬ幸せな気分に浸りながら横たわっていたぼくは、見知らぬ内官に起こされた。
着いてこいと言われ案内されたのは皇城の中枢である内廷だった。内廷は陛下の主殿や后妃の御殿を数多く有する私的な区画である。
ぼくは何も説明されないまま湯殿に連れて行かれ、衣服を剥ぎ取られ、文字通り、頭のてっぺんから足の爪先まで洗われた。
陰茎の包皮も剥かれて清められたのにはびっくりして、悲鳴を上げてしまった。
そして人生で初めて湯槽に浸かり、その極楽のような心地よさに全身弛緩した。
湯から上がると薔薇の香りのする化粧水を塗られ、紺色の服を着せ付けられた。それは下級内官用のお仕着せだった。
何がなんだか分からなかった。