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~花の玉手匣~
第5章  蒼い牙に抱かれて

「まったく、酒の注ぎ方も知らんのか」

「も、申し訳ありません。お許しくださいませ!」

陛下が呆れたように言い、ぼくはその場にひれ伏した。首を切られるかと思った。

ところが陛下は酒に濡れた自分の手を舐め、御衣の片袖を大胆に脱ぐとぼくの身体を引き起こした。

気づけばぼくは、陛下の逞しい上半身に抱き寄せられていた。

「へ、陛下…?」

戸惑うぼくの右手に、陛下が自分の右手を重ねる。

「酒というのは、こうして注ぐのだ」

ぼくの右手は人形のように操られ、陛下が左手に持つ盃へ流れるようにお酌していた。

「ん、旨い」

陛下は機嫌よく盃を呷った。



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