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~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
――いかなる思し召しがあろうとも、御意のままに従うのだ。
ぼくは内官の言い付けを守り、おとなしくしていた。
そんなぼくの額を、頬を、顎を……、陛下の指がやさしくなぞった。
「おまえは健気で、可愛いやつだ」
そして陛下はぼくの唇に口づけを落とした。
「――――――!」
ぼくは心底驚いていた。
陛下のなさった行為に。そして、ときめいてしまった自分の心に。
だって、ぼくは男で陛下も男だ。それなのに、この口づけをこんなにも甘く愛しく感じるなんて…。
ぼくの神経は狂ってしまったのだろうか、と理性の切れ端が葛藤した。
しかし身体は正直で、ぼくは自然と顎を上げていた。
それに応えて陛下がさらに口づけを深めた。