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~花の玉手匣~
第5章 蒼い牙に抱かれて
「今度はなぜ泣く」
陛下は呆れたように、可笑しそうに尋ねた。
「うれしい…からです」
ぼくは陛下を見上げた。その答えに、陛下は満足したようだった。
「愛(う)い奴め」
ぼくの頭の横に片肘をつき、ぼくを見つめる。そして右手は、またしてもぼくを愛撫していた。
初めて経験することなのに、これは愛の営みなのだと、ぼくはすぐに理解できた。
注がれる愛を深く感じた。
やがて陛下は囁いた。
「予のものにならぬか?」
ぼくは甘く目を閉じ、頷き返した。