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堕散る(おちる)
第24章 step24十八段目…春
「本当、ようこそって感じだったよ。エスカレーターつけたらいいのに…」

「申し訳ありません。本当にようこそお越しいただきました。
エスカレーターはないんですが、お荷物用のリフトはあるんです。
インターホンでお声かけいただければ良かったのですが…」

「あ?そうなの?
気がつかなかったよ。」

「申し訳ございません。」


「ハルト…」

アタシはハルトの服を引っ張り引き留めた。


「ま、まずはお部屋にご案内致します。」

女将さんがカバンを持とうとすると、

「女性に持たせちゃいけない。」

と、ハルトは持ったままついていった。

「先代が趣味で始めた宿でして…
至らぬところばかりで申し訳ないです。」

「こないだテレビに出てたよ?」

「はい、秘境の温泉巡りですよね。
秘境といえば、まさに秘境なんですが…
温泉と景色と猟師料理だけが自慢というだけで…」

「それで十分じゃない。」

「元々、猟場の休憩小屋だったのですが、たまたま先代が温泉を掘り当てまして…
それから宿を始めたんですよ。」


「へぇ…凄いな。」

「こちらになります。
今、お茶の支度をしますね。」

「いや、すぐ風呂浴びて食事にするからいいよ。」
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