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堕散る(おちる)
第24章 step24十八段目…春
カラン…コロン…

下駄が飛石に当たり鳴り響く。
部屋の灯りを消して庭に出ようとしたが、真っ暗で携帯の明かりで足元を照らして飛石を渡る。


手を繋ぎ後から続くルリの顔さえ見えなかった。
進む先も真っ暗なので飛石だけを頼りに進んだ。

むろん、宿の形すらうっすらわかる程度の暗闇だった。

「人工の明かりがないと、こんなに真っ暗なんだな。

店時代の24時間、真っ昼間と逆だな。」

「ハルト…鍾乳洞のことみたいに、宿がなかったらどうしましょう。」

「そんなことないって…ほら…」

振り向くとさっきまでうっすら影のあった建物まで闇に包まれて見えなくなっていた。

ルリも振り向いたのだろう、繋いでいた手をギュッと握られる。

「飛石を頼りに戻ればいいよ。」

「ヘンゼルとグレーテルみたいなことになったら?」

「それなに?」

「童話です。森に迷う子供たちの…」

「今日は雀のお宿を聞いて、明日はその何とかにするよ。」


話しながら進むと大きな岩にたどり着き行き止まりになる。

ルリを抱えて岩に座らせ、隣に腰掛ける。

「ここで星の観測だな。」

「ハルト…お星様降ってきそうですよ。凄く沢山見えますね。」

「綺麗だな。向こうで見えないのは空気が汚いからと思うとぞっとするな。」
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