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堕散る(おちる)
第27章 step27 二十一段目…初夏
新しい場所と新しい人がわかるのか、ハルトの手から降りようとしない。

「可愛いわね。貴方に凄くなついているのね。」

「卵から出て、初めて見たのが俺だから、俺を親と思ってるみたいです。」

「卵から孵すって大変なんでしょう?」

「ええ、保温器があっていくらか助けられましたが、ずっと温めているのは結構大変でした。
でもその分、なついてくれて嬉しくて可愛くて、
1人に出来ないから連れ回してます。」

「そうよね。私もルリが可愛くて仕方ないわ。
でもね、大人になったら、独り立ちしていくの…
そうなったら、見守ることしか出来ないけど、
幸せになって欲しいのよ。
わかる?」

「はい…」

「じゃあルリのことも大事にしてね。」

「わかりました。」

「そういえば二人はどうやって知り合ったの?」

ワタシは答えられなかった。

「ルリが管理しているビルの店に買い物に来て、監視カメラで見た俺が一目惚れして、声をかけたんです。」

「まあ…変わった出会いね。」

肝心な部分は言わず、大きな嘘ではないけど…
本当のことは言えないにしても嘘をついたようで…
ワタシは顔をあげられなかった。


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