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堕散る(おちる)
第30章 step30 二十四段目…入社式…1階
これ以上、何か聞いても、ハルトが必要ないと思ったことは教えてもらえないんだろうと感じた。

ハルトが何でワタシと一緒にいる、自分の会社に就職したらと言ったのか、
そもそも、何でワタシを捕まえたのか、
返事が怖くて聞けなかった。

「ごちそうさまでした。」

「ちゃんと食べれたでしょ。体は大事だからね、食事は欠かさずきちんと食べなきゃ。」

朝食を抜いていたハルトに言われるのはおかしかったけど、きっと、今のことでなく、仕事が始まってからのことを言っているんだろう。
そして、今の言い方だと、そこにはハルトがいないからなんだろうと理解した。

食後の珈琲を飲む。やはりハルトは淹れさせてくれなかった。

食器やカップをワゴンに乗せ、それをハルトが廊下に出した。
ワタシがハルトに出来ることはここにはない。


「ルリ?何で泣いてるの?」

「え…」

ハルトがソファーに戻ってきて、ワタシの頬を指で拭う。

泣こうと思ってなかったし、泣いている自覚もないままに涙を溢していたみたい。

「泣く暇なんて与えない。俺でいっぱいにして考えられなくしてやる。」

ハルトに抱えあげられベッドに下ろされた。
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