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堕散る(おちる)
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
王様の広げた腕に飛び込まなきゃならなかった。

「怖くて足がすくむか?」

「大丈夫です。」

ワタシは王様の腕に飛び込んだ。
大きな力強い腕に支えられて、やっと地に足がついた。

「楽しかったか?」

「はい。」

「それは良かった。人も信頼が大切だ。」

王様は言外に何か言い含めているような話し方だった。

「汗をかいたな、お茶にしよう。」

王様の中心にあるモノは、まだ上を向いているけど、すれ違う庭師は男女ともに先ほどと同じ対応だ。

裸の王様…まさに従者たちには王様の服が見えているようだった。


ガラス扉を開くと2人のメイドが石畳に正座していた。

「お帰りなさいまし。」

かしづいてから、湯桶を上がり口に用意する。
王様は上がり間に腰掛けて桶に足を入れた。

「君もこっちに腰掛けて。」

ワタシにも湯桶は用意されていた。

メイドが王様の足をタオルで洗っていく。
ワタシのところにもメイドがきた。

「あの…自分で出来ますから。」

「君は、この者たちの仕事を奪う気か?」

「いいえ、ただ自分で出来ることは、」

「この者たちは湯編みだけの為に雇われているんだ。君が必要ないと言えば、この者はクビだ」
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