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堕散る(おちる)
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
弦の緊張を引いた手に感じ、無駄な力を入れずに手を離す。

弦の緊張が矢に移り、ビュンと勢いよく放たれた。

タァーン…

的に刺さった音が響いた。
気持ちいい。
ただそれだけだった。

パン…パン…パン…パン…

王様の拍手の音が続けて響く。

「やったな。丸の中に刺さってるぞ。」

王様のように真ん中の赤い円には入らなかったけど、2つ目の丸には入っていた。

「本当に…刺さりました。」

「よし、今日はここまでだな。」

「えっ、もう終わりですか?」

「明日に響くぞ。」

確かに腕がぷるぷるしてした。

お屋敷に戻る前に、スノーとチョコレートのところに寄って撫でさせてもらった。

少しずつ、自分の居場所、ここでの自分のペースを掴んでいる感覚になった。

コンコン…

部屋に戻るとすぐにノックがある。まだ昼食には早く、王様と並んでソファーに座り、本でもみようかと言っていたところだった。

「入れ。」

王様が訝しげに返事すると、1人のメイドが入ってくる。

「昨日はお掃除をしないで終わってしまったので、もう一度お掃除に参りました。」

昨日、無理矢理王様に抱かれたメイドだった。
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