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堕散る(おちる)
第16章 step16十段目…二人きりの休日
食事の片付けも手伝うと言う。

洗うかすすぐか…に

泡がいい…と

半ばシャボン玉遊びになりつつ片付ける…

「珈琲いれて…」

シンクを吹きおえると
エプロンを外されて頼まれた。

また珈琲の番をしていたら

「こっちにおいで」

ソファーに呼ばれる…


コポッ…コポッ…

「この音、お腹ん中に
いたときの音なんだよ」

ハルトがアタシの肩に手を回し、さすりながら話し出す…

「生まれる前…
何も知らなかったころの
平和な時の音…」

ハルトが懐かしいかと訊いてきたことを思い出した…

「だから落ち着くんだ…」


ハルトがどんな表情で話しているのか…

見てはいけない気もしたけど、見上げてしまう…


さっ…

避けるように、ハルトがアタシの胸に耳を当てる…


「ルリの心臓の音もね…
同じ音がする…」

ハルトが…
戻りたい平和な時は、
生まれる前の時間…

生まれてすぐから、それほど辛い時間がずっと続いてきたということ…


アタシはハルトの髪を撫でた。普段はセットしているけど

元々はサラサラの髪…

珈琲が出来るまで…
ハルトの髪を撫でていた。

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