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堕散る(おちる)
第20章 step20十四段目…秋
ハルト…ハルトっ

名前を呼んだら、体に巻かれた糸がキリキリとしまってキツくなっていく。

もう間に合わない。

ハルトっ…助けて…

渾身の力を入れて糸を振りほどこうとすると、それはフワッと緩まり、髪が撫でられた。

ルリ…ルリっ

ハル…

っはっ…
蜘蛛
夢?

背中の温もりが離れ、振り向こうとしたら、コロンと返される。

ハルト?

ガシッと抱き締められてハルトの胸にうずくまる。

「怖い夢見たの?ルリ…」

子供をあやすような優しい手つきで背中をトントンされる。
頭に、またハルトの胸からも振動で、低いけど優しい声が聞こえる。

生きてた。ハルトもアタシも…

落ち着いたら、たかが夢なのに涙がこぼれてしまう。

ハルトが剥がして顔を覗こうとするのでしがみついて隠す。

「泣いてるの?」

剥がすのを止めて頭を撫でられる。

「蜘蛛の夢?俺の名前を呼んでたよ?」

「蜘蛛の巣に捕まえられて、蜘蛛に食べられそうだった。
名前を呼んだら、糸が締まってきて…」

「呼ばれて目覚めて、思わず抱き締めちゃったからかな…ごめん」

「いいえ」

「落ち着いたかな?」

頷くとハルトが離れ、中途半端にむしられたブラジャーやストッキングを外していく。
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