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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
買い物から帰って昼の支度を始める。

茶碗蒸しが卵で出来ていると知って、帰ってくるなりボウルを取り出し、卵をいくつ割るか訊かれる。

ハルトが卵以外で興味を示すものはまだ見つからない。

出汁をつくり具材の用意をすると興味深々と覗いていた。


明日は1日出かけるらしい。ハルトはどこにいくのか教えてくれなかった。

三泊分の献立を考えていたので、外食する分、優先順位を決めてもらった。


「ねえねえ、卵の出番はいつ?」

「出汁を冷ましたらです。」

氷水を入れたボウルにボウルを浮かべ出汁を入れる。

「せっかく温めたのに、冷やすんだ。」

ボウルを押さえながら箸でゆっくり回すハルトが言う。

触れるくらい冷めたら、というのが待てない様子だ。

焼き魚やお浸しに取り掛かったけど、それには興味はないようだ。

「だってお浸しって野菜は前に食べたよ。」

「お浸しって野菜の名前じゃないですよ。」

「そうなの?じゃあ何の名前?」

「調理法の名前ですよ。
今日は小松菜と油揚げとシラスのお浸しにします。」

「ん〜、なんでお浸しって言うんだ?」

「汁気に浸されているからじゃないでしょうか。」
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