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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
「赤鬼は泣くんです。

自分の本当の友達は

青鬼だったのだと…

村人と暮らすのでなく、
早く青鬼のところに来るべきだったと…

赤鬼は悔やんで泣くんですが、鬼の足のこと…

青鬼の居場所はもうわからなかったということです。」




しばらく沈黙が続く。

ハルトが神妙な表情をしていた。


そして、ポツリと


「意外と深い話なんだな…」

とだけ言った。


「もう続きはないの?」


「はい、ここでおしまいです。」


「そっか…」


赤鬼の気持ちになったのか、青鬼の気持ちになったのか…

しばらく静かなままだった。


アタシも、悲しい話にしなければよかったかと思い始める。

ハルトの肩に手をそっと乗せると、

ハルトに引っ張られ、胸に納められる。


そして、髪を撫でられた。

「ルリ、青鬼にも、赤鬼にもなっちゃいけないよ。」

「え?どういう…」

「自分の大事なものなんて、少ししかないんだ。

それは譲ったりもらったりしちゃいけない。」


「なんだか難しいですね…」


「でも、お互いが大事だと気付けなかった赤鬼も青鬼も可哀想だな…」


「そんな風に考えたことなかったです。」
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