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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
「ほら、ついたよ。来たことある?」

「ないです。」

「そりゃよかった。たっぷり遊ぶよ。」

ハルトが助手席側に来て手を引いて立たせてくれる。

アタシ達は、少し前まで日本一と言われていたビルの地下駐車場にいた。

「ハルトは来たことあるんですか?」

「遊びに来たことはないな…
仕事の用で通ったことはある。
色々面白いところあるみたいだよ。」


地下に出るとその建物の高さに改めて驚いた。
タワーというだけのことはある。

「まずは船に乗るよ。」

「はい、あの…ハルト、これってデートですか?」

「そうだよ。といっても、デートの定義がよくわからないけどね。

まあ気になるところにいって、見たいもの見て、食べて、遊ぼう。」

「はいっ」

まずは遊覧船に乗る。
途中海上で停まって、デッキに出ることが出来る。

寒空の中、デッキではしゃいでいるのは、子供連れとハルトだけだ。

身なりと行動がちぐはぐで明らかに目立っていたが、ハルトは全く気にしていない。

「ねぇ…ルリ船に乗ったことある?」

「遊覧船なら」

「へぇ…」

「学校の旅行ですけどね。
ハルトはもしかして初めてですか?」

「ああ…海の風って気持ちいいな。」
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