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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
それならば、はしゃぐのもわかる。

デッキのへりに寄っ掛かり、海を覗いたり、空を見上げるハルトを愛おしく思う。

ハルトに並んでそっと腕を組んだ。

「自分の船とかあったらいいだろうな。」

ハルトなら実現するかもしれない。
欲しいと思ったら実現させる。すぐにでも行動しそうだ。

また、運航して別のところに到着するとのアナウンスが入り、船内に戻った。

「ハルト、仕事ばかりで、自分の為に遊んだことないんじゃないですか?」

思ったことを口にした。

「そうかもね。遊ぶとか考えたことがなかった。
ルリと会ってからだね。仕事以外のことに興味持ったの…」

ゆったりとした時間、自分の時間を持つことが許されなかったハルトには、その過ごし方がわからなかったのかも知れない。

船の到着場は公園に続いていた。木々の葉は落ちてしまい寒そうだ。

「ここにはブランコないね。」

二人の格好でブランコを漕いだら凄く目立つだろう。
でもハルトはお構い無しに乗るんだろうな。

港を一望出来るタワーを見つけハルトは昇るという。
今日1日見たままに楽しむつもりらしい。

展望台からの景色は素晴らしかった。
知らない街なのに何故か懐かしい気分になるのは海のせいだろうか…
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