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堕散る(おちる)
第24章 step24十八段目…春
よほどハルトは疲れているのか、アタシも一緒になって夕方近くまで寝てしまった。

一緒に食事の支度をして、一緒に食べる。
当たり前になりつつあるが、アタシもハルトも一人の食事が多く、それがとても楽しみだった。


「ルリ、散歩するよ。」

「今からですか?」

「ああ、これ着て。」

桜色のパーカーとスウェットを渡される。
ハルトは色違いの黒を着始める。

面倒くさいと、一度家に入ったら出たがらないハルトにしては珍しい。

ハルトに引っ張られるようにして外に出た。

ハルトは手にランタンを持っていた。


「公園ですか?」

「ああ…」

「ブランコ乗るんですか?」

「いや…」

ハルトに手を引かれて奥の方にいく。

「あっ…」

「見つけたんだ。一本だけなんだけど…」

前に一度探索したはず、その時は季節じゃないし、気づかなかったのだろう。

小ぶりだけど、他の木の中に一本だけ桜の樹があったのだ。

「本物の夜桜見物だよ。」

樹の根元にランタンを置きハルトが座る。

「こっちにおいで…」

ハルトの脚の間に、ハルトの胸に背中を預けるようにして座らされる。

ハルトが少し上体を倒すので、寄っ掛かったまま樹を見上げる姿勢になった。
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