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堕散る(おちる)
第24章 step24十八段目…春
「なんか雪みたいですね。」
ひらひらと花びらが落ちる。風がないので、自然に散る花びらがあちらの枝から一つ、また別のところから一つと舞いながら降ってくるのだ。
ハルトもアタシも言葉もなく、しばらくランタンの薄明かりに照らされる桜を眺めていた。
「どこか、人も来ないような山奥に桜の里みたいなところないかな。」
「ハルト、桜に凄くこだわってますね。」
「誰も来ないような場所なら、いいでしょ?」
「何がですか?」
「もっと沢山桜があって、雨みたいに桜が散る中で、ルリを抱きたい。
桜色に染まったルリを桜の中で抱いてみたい。
いいでしょ?」
「もし、誰も来ないような山奥なら…」
「約束ね。」
ハルトから約束されるなんて、来年の今頃は卒業している。
ハルトとずっと一緒に居られる頃だ。
まだ薄寒い春の夜、ハルトにゆったりと包まれた部分が、温かい。
こうしてハルトの気が済むまで夜桜見物をしたのだ。
「見てると飽きないけど、野宿になっちまうな。
そろそろ帰ろうか。」
ハルトが優しく起こしてくれて立ち上がる。
桜の樹から名残惜しそうにして離れて家に帰った。
ひらひらと花びらが落ちる。風がないので、自然に散る花びらがあちらの枝から一つ、また別のところから一つと舞いながら降ってくるのだ。
ハルトもアタシも言葉もなく、しばらくランタンの薄明かりに照らされる桜を眺めていた。
「どこか、人も来ないような山奥に桜の里みたいなところないかな。」
「ハルト、桜に凄くこだわってますね。」
「誰も来ないような場所なら、いいでしょ?」
「何がですか?」
「もっと沢山桜があって、雨みたいに桜が散る中で、ルリを抱きたい。
桜色に染まったルリを桜の中で抱いてみたい。
いいでしょ?」
「もし、誰も来ないような山奥なら…」
「約束ね。」
ハルトから約束されるなんて、来年の今頃は卒業している。
ハルトとずっと一緒に居られる頃だ。
まだ薄寒い春の夜、ハルトにゆったりと包まれた部分が、温かい。
こうしてハルトの気が済むまで夜桜見物をしたのだ。
「見てると飽きないけど、野宿になっちまうな。
そろそろ帰ろうか。」
ハルトが優しく起こしてくれて立ち上がる。
桜の樹から名残惜しそうにして離れて家に帰った。