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背後偏愛サロン
第5章 貢ぎ
 「謝るのはそれだけ?」
 愛海はぶたれた左頬を赤くしながら、やや上目遣いで詩織を見た。
 「勝手に見てたんでしょ? 私の携帯」
 詩織の言葉に、愛海はかすかにうなずいた。
 「私はね、怒ってないんだよ?」
 「うぁ……はんっ……も、もうしない……んあぁぁ……」
 「ううん、これからもカズくんとしてくれていいの。知らない女とされるよりましだもの」
 「えっ……」
 「ねえ……カズくんとどっちがいい?」
 詩織はもう一度ささやいた。
 愛海は恥ずかしそうに目をそらせた。
 「カズくんの時もそんな顔見せるの?」
 「ん……はあっ……! こっち……こっちのがいいのっ……! ああっ……むちゃ、くちゃに、カラダ、食べられてるからあっ……!」

 詩織は、愛海ではなく自分の口が勝手にその台詞をしゃべったような気がした。
 詩織はもう一度愛海の左頬を思い切り平手打ちした。
 手が、痛い。

 叩かれた瞬間、愛海は突然『少女』の顔に戻る。
 そしてまた、男根にメスの肉穴をかき回される快感を知った『オンナ』の顔を見せる。
 『オンナ』と『少女』を行ったり来たりしている。
 いや、行ったり来たりが、できるのだ。

 詩織は再び手を上げようとしたが、やめた。
 その時、詩織は背後に『オス』の気配を感じた。

 ハ……ァァァ……ッ……

 オスの息づかいだけで、詩織の背筋を一気に甘美な電流が突き抜けていった。
 気のせいではない。詩織の後ろ姿に欲情している、本物の『オス』がいる。
 愛海は今、目の前でオスに身体を貫かれている。
 もう一人、別のオスがいつの間にか詩織の後ろに来ていたのだ。
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