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その瞳に…
第24章 嫌悪と恐怖
舞奈は、メールで知らせた渡辺が、舞奈の後を着け電車に乗っていた事、そして渡辺に痴漢され、その渡辺が公園で襲ってきた一人だった事を舞奈は啓介に話した。

啓介は顔を真っ青にしながらも、舞奈の話を聞き、また少し震え始めた舞奈を優しく抱き締めた。

「恐かったね…」

優しく抱き締められ、啓介の言葉に、舞奈はまた涙を流し始める。

「っ…啓ちゃん…私、嫌なのに…それなのに…感じちゃって…私…すごい汚い…」

嗚咽を漏らしながら泣く舞奈に、啓介は優しく囁く。

「舞奈は汚く無いよ。どんなに嫌でも、体のツボを押さえられたら少しは感じてしまうのは仕方ないんだ…それが、人体の仕組みなんだしそれに、いかなかったんでしょ?それは、舞奈の心が拒否してた証拠だよ…」

啓介の変な慰め方に、舞奈はおかしくなり、心が軽くなるのを感じる。

舞奈は、スンスンと鼻を鳴らしながら、啓介を見る。

「啓ちゃん…何か変な慰め方だよ、それ…」

「あ、やっぱり…?」

舞奈の指摘に、自分でもそう思ってた啓介は、小さく笑う。

つられて舞奈も小さく笑うと、自分のお腹を手で触る。

「でも…まだ中に違和感があって…気持ち悪い」

その言葉に、啓介は顔を曇らせるが、ぎゅっと舞奈の手を握り、ウインクする。

「それは、この後くる人に上書きして貰えばいいよ」

え?と、舞奈は顔を上げると、啓介は優しく微笑んだ。

「舞奈を見たスタッフがマスターにそれを伝えたらしく、マスターから大河さんに連絡してくれたみたい。多分、今こっちに向かってると思うよ」

「啓ちゃん…」

「だから、大河さんが来るまで、ここにいな…」

舞奈は啓介とマスターの優しさが嬉しく、ぎゅっと抱き付く。

「ありがとう…啓ちゃん」

「どう致しまして…」

啓介も、優しく舞奈を包み込み、ゆっくりと自分の腕の中に収まる小さな従兄弟を撫でた。



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