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その瞳に…
第24章 嫌悪と恐怖
啓介に優しく抱き締めてもらい、舞奈はとても安心する。

「そう言えば、昔は良く啓ちゃんに慰めて貰ってたね」

啓介の肩に顔を埋めながら、舞奈は昔を思い出し、呟く。

「そうだね。由美に泣かされた時なんて、大体俺が慰めてたね」

啓介も昔を思い出したのか、クスっと笑いを漏らす。

「ずっと俺の後ろについて、泣き虫だった舞奈が、もう彼氏が出来る年頃になるなんてね」

ゆっくりと舞奈の頭を撫でながら、啓介は遠くを見詰める。

「これからは、舞奈を元気にするには、俺じゃなくて、大河さんなんだね…ちょっとだけ、寂しいかな」

その言葉に、舞奈はフフっと笑いを漏らす。

「そんな事無いよ。先生と喧嘩したら、啓ちゃんに泣き付くもん」

「じゃあ、たまに喧嘩する事を祈っておく」

何それ、と舞奈はクスクス笑い、啓介も一緒に笑う。

二人が顔を合わせてクスクスと笑っていると、外が少し騒がしくなる。

バタバタと走る音が聞こえ、バンと勢い良く、スタッフルームのドアが開く。

「舞奈!?」

血相を変えた大河は、舞奈の名を呼びながら部屋に飛び込む。

「先生!!」

舞奈は、大河を見ると、啓介から体を離し、大河に抱き付く。

自分に抱き付く舞奈を、大河はぎゅっと抱き締め、安堵の息を漏らす。

「舞奈…」

大河は啓介がいるのも構わず、そっと舞奈にキスをする。

「舞奈、大丈夫かい」

その言葉に、舞奈は少し微笑む。

「大丈夫。啓ちゃんのお陰で、もう落ち着きました」

舞奈は自分から、もう一度大河にキスをする。

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