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その瞳に…
第26章 ~モノローグ4~
 その写真は、文化祭で舞奈に話しかけていた男だった。

 舞奈は奴のアプローチにまったく気が付かず、佐々木さんと一緒に少しだけ会話をしていただけだったけれど、僕はそれだけでも面白くなかった。

 周りはどう思ったか解らなかったが、僕から見たら奴は舞奈に完全に目を付けていたからだ。

 しかし、あの時は僕も他の来賓の対応で追われていたし、あからさまに邪魔をする訳にもいかなかった。

 今になって、少し教師と言う立場が少し煩わしくなっていた。

 大学時代、家庭教師のバイトを始めてから、誰かに物事を教えるのが楽しくなり、その道に進もうと思った。

 実際、進学塾で教えるのも、教師となって雪音の教壇に立つのも楽しい。

 教師の道に進まなければ、舞奈にも出会えていなかっただろう。

 だから、教師になった事に間違いは無いと思う。

 けれども、舞奈の恋人として、正々堂々と助けにいけないのがもどかしくなる。

 舞奈には自分から普通の恋人として出来る事は少ないと言っておきながら、先に自分が辛くなってきてしまっている。

 (本当に情けない・・・)

 けれど、自分にもこんな色々な感情があった事に嬉しさも思える。

 それは今この腕の中で眠る、愛しい少女のおかけだ。

 愛しさ、優しさ、悲しさ、辛さ、憎しみ、怒り・・・

 自分の感情は全て、舞奈の為に動いており、舞奈にしか動かせない。

 自分が守り、育てる華。

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