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その瞳に…
第29章 大人と子供
 そして、大河の人脈の広さに小さな嫉妬すら湧く。

 自分が子供でなければ、もっと色々な人と知り合いで知識があれば、今回の事も起こらなかったのではないかとも思う。

 そんな事で頭がいっぱいになっていると、フと視界が暗くなり、頬に大河の手が当てられ、そのまま上に持ち上げられる。

 そこには、何時の間にか舞奈の前に移動した、大河が優しく微笑みながらいた。

 「君は、どんどん魅力的になっていくね」

 え?と舞奈は小さく声を上げる。

 今自分が言った事は、ただの自分勝手な感情だ。

 大河はそんな舞奈を魅力的と言った。

 舞奈はその意味がまったく解らなかった。

 「舞奈、前も言ったけれど、本当なら僕は君を閉じ込めておきたい。けれど、それは駄目なんだ。・・・なぜか解る?」

 舞奈は、本当なら自分も大河だけを見て、大河だけの為に生きたいと思った。

 けれど、それは大河に甘えてばかりは駄目だとは解っているが、大河の考えはわからず、小さく首を横に振った。

 大河は小さく微笑み、ソファーすわり直し、舞奈を自分の膝の上に向かい合い様に座らせ、優しく抱きしめた。

 「君は子供だから、と言ったね。けれど、考えを変えれば、子供だからこそ、自分の努力次第でこれから魅力的な大人になれるとは思わないかい?」

 その言葉に、舞奈は素直に頷く。

 「僕はね、君がこれから色々な事を体験して、世界を広げ、さらに魅力的な人になるのがみたいんだ。それは、僕のエゴで君を閉じ込めておきたくない理由でもある」

 舞奈は、今大河がどんな表情をしているのかわからなかったが、なんとなく微笑んでいるんじゃないかと思いながら、肩に顔を預けたまま静かに聞いた。
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