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その瞳に…
第30章 SとM
 大河は、腕の中で体に力が入った舞奈に気がつき、まだ小さな抵抗をしているのが楽しく静かに口の端を上げた。

 舞奈の抵抗がどこまで持つか知りたくなった大河は、そのまま耳元で囁き続けた。
 
 「・・・人はね一度しか堕ちていないと、戻る事も出来る。けれど、先輩はそうさせない位に相手を堕とすのがとても上手いんだ。二度と、ノーマルな世界に戻れない位に」

 感じまいとしているのか、舞奈の体は大河の膝の上でドンドン小さくなり力が込められる。

 けれど、伝わる鼓動と熱、時折吐かれる熱い吐息が舞奈の体をどんどん欲情させているのが解る。

 その証拠に、舞奈からは甘い花のような香りが漂い始めた。

 「今回、先輩には飛び切りのをアレにしてくれとお願いしておいた。二度と女性に見向きもしないくらいにね。・・・だから、もう二度とアレが君の前に出てくることはない。安心しなさい」

 「っ・・・」

 舞奈はコクンと小さく頷いた。

 (・・・も、無理・・・・)

 きつく体を抱きしめる腕、耳元で甘く囁く声、かかる吐息。

 一度火がついた体は、収まりが効かずどんどん激しくなっていく。

 大河の話しをしっかりと聞かないと、と思っていても滅茶苦茶に抱いて欲しくて仕方が無くなっていた。

 聞きたい事は、まだ山ほどある。

 けれど、そんな事すら舞奈はどうでも良くなっていた。

 (早く、抱いて欲しい・・・)

 そう願い、はぁっと熱く深い息を吐き出す。

 その吐息を聞いた大河は、クスリと笑いを零す。

 「舞奈、他に何か聞きたい事は?」

 その問いかけに、舞奈はフルフルと首を横に振り、抱きしめられている大河の腕をぎゅっと握る。
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