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その瞳に…
第34章 楽しい夜
 「別にいいじゃない、高校時代の見られたって。今とあんまり変わってないんだし」

 ね~、テーブルについた栄子が、隣にいる早百合に同意を求める。

 「そうね。それに、私は大河さんを見せるんじゃなくて、あくまでも英樹の高校時代を見せたいだけよ」

 にこにこと微笑む早百合に、大河は疲れた様なため息を吐き、紅茶に口をつける、と。

 「っ!?」

 ゴホゴホといきなり大河がむせ始め、舞奈は驚いて大河の背中を摩る。

 「早百合さん、これ・・・」

 大河がむせながらも紅茶を指すと、早百合はあらあらと微笑みを崩さない。

 「大河さん明日お休みでしょう?英樹がどうしても大河さんを引き止めてって言うから、ブランデー落としてみたの。ああ、舞奈ちゃんは私が送ってくから安心して」

 「だからって、こんな強硬手段に出なくても・・・」

 「あら、だってこうでもしないと、大河さんすぐ帰っちゃうでしょう?私も舞奈ちゃんとゆっくりお話したいもの。ね」

 微笑を崩さない早百合に、大河は深いため息をつく。

 「解りました。今日はゆっくりさせてもらいます。これくらいならすぐに抜けるでしょうし。そもそも成滝は明日も仕事あるんですから、そんなに遅くまでは無理でしょう?」

 その言葉に、早百合と栄子はきょとんとした顔をする。

 「あら?明日、お店臨時休業なのしらないの?だから、今日来てくれたんだと思っていたのに」

 その言葉に、大河はえ?と少し驚いた表情をする。

 「明日、パティシエの子が法事だからお休みなの。デザートがないと困るから、じゃあいっそお休みに、って。だから成滝も今日貴方たちを家に呼んだのよ」

 早百合の言葉に、大河はガックリと項垂れる。


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