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その瞳に…
第38章 冬休み
 「じゃあお前ら。冬休みだからってハメ外しすぎんなよ~」

 担任が最後の挨拶を終え、教室を出た瞬間クラス中が一斉に盛り上がる。

 「やったー!やっと休みきたー!!」

 「私成績ちょっとヤバくなってたよ~!!!」

 「私上がってたもんね!!!」

 皆がそれぞれ盛り上がってる中、帰り支度をしていた舞奈に絵麻が声を掛ける。

 「舞奈成績どうだった?」

 「へへ~。上がってた!特に数学と科学!!」

 得意げに笑ってみせる舞奈に、絵麻はふ~んとニヤニヤした笑いを溢す。

 「専属の家庭教師のお陰って訳ですか」

 舞奈にだけ聞こえる声で笑う絵麻に、舞奈は真っ赤になる。

 「いいやねぇ。専属の家庭教師。私も欲しいわ~」

 「なっ!?ちょっ!絵麻」

 絵麻の言葉に、舞奈が慌てて口を押さえようと手を伸ばすと、絵麻はひらりと華麗に避け。

 「ほら、帰ろ~。うちら電車組は早く支度しないと遅れるんだから」

 明らかに舞奈をからかっている絵麻を睨みながらも、カバンを持ち小走りで絵麻に続いて教室を出ていくと、カバンに入れてあったスマホが振動する。

 「絵麻待って!」

 舞奈は絵麻を引き止め、スマホを確認すると、大河からメッセージが来ていた。

 『今日は友達と遊ぶ日だったよね。僕達教師は忘年会の後、見回りも行うからあまり遅くなって補導されないように気をつける事。後、男たちに絡まれたらすぐに回りに助けを求めなさい。絶対について行かない様に』

 何時もの様に事務的な内容のメッセージだが、大河が舞奈を心配しているのがとても良くわかり、舞奈はつい頬が緩んでしまう。

 「うわっ。過保護か!」

 「わっ!?」

 舞奈のスマホを横から覗き見していた絵麻が、呆れた声をあげると、舞奈はスマホをぱっと体で隠す。

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