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その瞳に…
第38章 冬休み
 「ちょっ!絵麻覗かないでよ!!」

 「だって、舞奈の顔がにやけてたからどんな文章か気になったんだもん。つか、あの人これどんな顔して打ってんのかね」

 絵麻はまったく悪びれのない状態で、もう一度舞奈のスマホを軽く手で押さえながら覗き込む。

 舞奈はそんな絵麻にもう!とスマホを取り上げ、カバンに急いでしまう。

 「どんなって。多分普通に表情変えずにだと思うよ」

 舞奈が絵麻に反論すると、あ~と絵麻は大河を想像しているのだろうか、上空を見上げながら呻る。

 「確かに、ニヤケっ面のあの人とか、ちょっと想像したくない・・・」

 「絵麻、失礼!」

 プクっと舞奈が頬を膨らませると、絵麻はゴメンゴメンと軽く謝りながらさっさと昇降口へ向かった。

 「そういや、舞奈はクリスマスどうすんの?」

 昇降口で靴を履き替え正門へ向かいながら、絵麻が舞奈に質問すると、舞奈はえへへっとちょっと恥ずかしそうに微笑む。

 「24日から日曜日までお泊りする予定」

 「・・・ああ、そう」

 とても嬉しそうに照れながら微笑む舞奈を、絵麻は呆れた表情で見つめる。

 「つか、泊まり多くない?おばさんはともかく、おじさんは平気なの?」

 その言葉に、舞奈は力強くうん!と答えた。

 「その日から日曜日までお父さんとお母さん旅行行くから!」

 「また!ほんっと旅行好きね。あんたの親」

 「今回は京都だって~」

 舞奈の両親は大の旅行好きで、父親の出張に合わせ観光目的で母親は良くついて行く。

 しかし、それだと父親が旅行した気分にならない!と叫び、舞奈が高校に上がると同時に、年に2・3回は夫婦水入らずで旅行に行っている。

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